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天下一舞踏会 ~ギリギリなおっさん達の社交場~

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かわいそうな「おっさん」「お局」であることを受け入れた、私とあなたたちのために。

ぶらり途中下車の旅 3代目ナレーターへの交渉 

小日向文世さんが日テレ「ぶらり途中下車の旅」の正式なナレーターとなって、3年目に入るだろうか。
先代ナレーターの二人は、やむを得ない理由でナレーターを降板された。
製作側が3代目に抜擢した小日向さんへの期待が大きいことは、想像に難くないだろう。



番組プロデューサー(以下、P)「お忙しいところわざわざお越しいただき、申し訳ありません。この件につきましては、どうしても小日向さんご本人にお話ししなくてはならないと思いまして。」

小日向文世(以下、文)「いえいえ。私もこの番組が好きで、ほとんど見てますんで。今回のお話をいただいて、大変光栄に思いました。よろしくお願いします。」

P「ああ、ありがとうございます!そう言っていただけると、我々も小日向さんにお願いした甲斐がありました。」

そういうとプロデューサーはじめ、3名の製作側が小日向に頭を下げた。
それを見た小日向とマネージャーも、合わせてお辞儀をした。

P「そこまでご理解をいただいている小日向さんに、これ以上言うのは大変失礼かもしれませんけど。この件につきましては、どうしても我々の想いをお伝えする必要があると思いますので、どうかお聞き願います。」

プロデューサーのあまりの真剣さに、小日向は前に身を乗り出した。

P「小日向さんにはこの番組を見ていただいているとのことで、今までのナレーターの経緯もご存知かと思いますが、改めて振り返らせていただきます。
まずは初代の滝口順平さん。滝口さんのナレーターがなければこの番組を作ることがなかったと、草創の製作者から聞いています。無論我々の代になっても、滝口さんを代えるつもりはありませんでした。ですがご存知のように、滝口さんは亡くなってしまいました。この番組が長く続いているのはありがたかったのですが、滝口さんがいないのに番組を続けられるかどうか、と。本当に悩みました。ですがこれもありがたいことに、視聴率が大変にいいということもあって、局からは続投を命じられました。
そして次にお願いしたのが藤村俊二さんでした。藤村さんになってからも好評でした。ですが突然、藤村さんが芸能界の引退を発表しました。
藤村さんのようなことがあるというのは、我々も予想ができませんでしたので。次のナレーターの方には、そのような途中で投げ出されるようなことがあってはいけないと思いまして、今回、小日向さんにこうして我々の覚悟を知っていただきたいと思い、この場を設けさせていただきました。」

テーブルの上に両手を組み、プロデューサーの話を神妙な面持ちで聞いていた小日向が答えた。

文「お話いただいて、ありがとうございます。そうですよね。滝口さんのナレーションが、この番組のイメージそのものだったのは私も正直なところでしたんで。そんな真剣な想いで私を選んでいただいたというのは、これほどうれしいことはありません。」

小日向はペットボトルの水を口に含み、続けた。

文「私の意思で辞めることがないことはお約束します、間違いなく。まあこの番組の人気からして、私が芸能界に居られる時間よりも長く続くのは間違いないと思いますけど。そうなったときは申し訳ないですが。まあその前には、交代させられてるでしょうけど。」

にやっと、いたずらに微笑む小日向に対して、プロデューサー側の3名はいやいやと、小日向の謙遜を打ち消しながら、ほっとした表情になった。



番組で「旅人」になったことはない(はず)小日向氏が、ナレーターに抜擢されたのは、当時正直意外だった。
今回の話の流れはそのときにすぐに思い浮かんだ。
2年余りの時を超えて、今回書き切ることができたのは、我ながら喜ばしい。



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電車まわりに棲みつく奇異な男たち 

これから挙げる3人は、私が通勤中に見る奇異な男たちである。


1.一刻も早く改札を抜けたい男

品川駅発7時30分の蒲田行き。
終点の一駅手前の大森駅が近づいてくると、東京側の車両から私の居る蒲田川の先頭車両に移動してくる。この男が大森駅で降りるとするならば、大森駅の階段は東京側にあるため、初めて男を見た人は奇異に思うだろう。

普段は進行方向右側のドアしか開かない京浜線だが、蒲田終点の電車に限っては、蒲田駅に着くと左側のドアが開く。
蒲田駅を目指す私が、左側のドアの角に立っていたある日、東京側から移動してくるその男を初めて見た。白髪で背の高い、定年まで10年を切ってそうなサラリーマン風だ。
大森駅が近づいて来たタイミングだったので、男は降りるために右側のドアに行くと思いきや、なんと私の居る左側のドアにw(゜o゜)w
男は私の目の前で、ドアにピタリと張り付いたのだ。蒲田で降りたいにしても、この"準備"のタイミングは異常である。
蒲田駅に着きドアが開くと、男は一目散に階段を駆け上がっていった。
次の日も同じ電車で観察していたが、男は同じ行動をとった。
なるほど、男にとってここは毎朝のポジションなのだ。

この男を直視していると、何かにせかされるようにポジションに向かっていく。にもかかわらず、全くと言っていいほど足音がしない。男が来ることを意識しつつ、私が窓の方に意識を向けていると、何の音も気配も感じない。「今日は来ないのかな?」と、大森駅前でポジションを見ると、いつものようにドアに張り付いていた。
駅についてドアが開くと本気で駆け抜けていくため、男の顛末を最後まで確認したことはない。だが駅の構造から、男はJRから東急に乗り換えたいのだろう、と予測できる。
たったそれだけのことに、大混雑の駅のホームと階段を全力で駆け抜けるリスクを厭わないというのは(^_^;)
私の価値観に照らせば、この男は大馬鹿者の烙印を押さざるを得ない。


この男については通勤にこだわりをもっただけの、どちらかというとまともな人間だとは思う。
次からが本番だ。


2.ホームの先端に立つ男

電車としては1.のと同じのに乗れば見られる。ただこの男は、ある程度長い時間いると思われるので、発見できる電車は他にもあると思う。
新橋駅の東海道線ホーム、品川側の先端に立つスーツ姿の男。
このホームは、男が立つ先端部分は屋根がない。だから朝日を直接浴びている男の存在が際立って見えるのだ。雨の日は傘をさしてまで、このポジションをキープしている。
ただ立っている。電車が来ても乗るそぶりを見せない。また身体は品川方面行に向いているように見えるが、細くなったホームの先端にいるから、どっちに乗るのかも怪しい。
男の奇異な行動は、電車に乗らない以外にもう一つ。
京浜線から男を見ると、男は体を向こう側に向け、電話(推定)を耳に当てている。体の向きをそのままに腰をひねらせ、こちらを見つめる。まるで男の存在に気付いている私を見つめるかのように。


3.封筒を運ぶ男

蒲田駅17時42分発の南浦和行き。ほぼ毎日定時退社している私が、最短で帰宅を目指したときに乗ることができる電車である。
この男は格好にインパクトがある。
黒縁の眼鏡にベージュ系のチノパン。縮れた長髪を後ろでぐちゃぐちゃっとまとめ上げて、顔には一面のヒゲ。
上着を着ていることもあるが、必ずそでをまくり上げている。
右手には必ず、ぱっくりと口をあけたままの空色のA4サイズの封筒を、上に向けて持ち上げている。封筒以外の持ち物はない。
電車が有楽町駅の駅に着くと、男はホーム上を品川側に向かって歩いていく。おそらく、ここから電車に乗り込むのだろう。次の東京駅に着くと、男はホーム上に現れて上野側に向かって歩いていく。
私が乗ったままの電車は動き出すが、男が最初の階段を通り過ぎるところまでは確認できる。
封筒ひとつで丸の内を闊歩するこの男。そして封筒の中身は、一体何なのか。


毎日のようにこの3人を見ていて、全くいい気持ちはしていない。
いつかこのうちの一人でも欠ける日が来るのだろうか。



今の行動への異常な執着。その執着は、彼らが死してもなお、今の行動を続けるような気がしてならない。
何十年か先に彼らが、そして私すらいなくなったこの世で、これらの現場に異形の目撃例があったらそれは・・・
いや、ひょっとしたら彼らのうち一人二人については、見えているのは私だけなのかもしれない。
この記事を書いたことにより、彼らの勘気に触れてしまったかもしれない。


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